テーマ
“美味しい”介護食を考える
目的
福祉の現場では、「食べること」の重要性が注目されています。 ただ食物を摂取するだけではなく、「美味しい」という感情をもって食事を摂ることにより、 利用者の心が豊かになり、生活の質の向上につながることが期待されます。
本研修は、栄養士や調理に携わる方々を対象に、食べることや栄養についての理解を深め、 利用者に「美味しい」と感じてもらえる介護職のメニュー作成や調理のポイント等について 考えることで、利用者を「食」の面から支える職員の資質向上を図ることを目的に開催されました。
主催者
山形県社会福祉研修センターさま
日 時
令和2年8月6日(木)10:15-12:00、13:00-16:15
会 場
山形県総合社会福祉センター 4階 総合会議室
参加者
高齢者福祉関係施設、障がい者福祉施設における栄養・調理に関わる職員さま 訪問介護事業所、居宅介護事業所の職員さま 57名 +担当職員様 3名
①講義「福祉の現場における食事の問題あれこれ」
福祉の現場で直面する、食事についての様々な問題点について考えました。
②講義・演習「“美味しい”の声が聞こえる介護食を考えてみよう」
利用者に「美味しい」と感じてもらえる介護食を提供するにはどんな事が必要なのか、
メニュー作成のポイントや調理上の工夫等について整理しました。
受講者が自身の業務経験の中から課題を見つけ、本研修の学びをより有効に今後の業務に活かしていただくことを目的に、全受講者から「事前課題」を提出して頂きました。
当日は各自が抱える食事問題解決の手順書作りを通して今後の何が必要なのか整理しました。
◆福祉における食事問題
◆食事ケアのきほん
◆問題解決レシピ
事前課題で自身で上げた問題点を振り返りながら聞いて頂きました。
特に、皆さんが事前課題として考えて頂いた「理想の食事」は、
ご利用者の方に(が)どうなって欲しい?
どういう状態であってもらいたい?
と聞かれた時にどうでしょうか?
誰にどうなって欲しいのかの「誰」は「ご利用者が」になっていますか?
「私(自分)が」「厨房スタッフが」「訪問スタッフが」「ヘルパーが」「施設が」になっていませんか?
あなたは「誰に、どうなってもらいたいのか?」を今一度考えながら、
これからの話を聞いてみてもらう時間としました。
おいしい食事を提供したい!
施設スタッフとして食事を提供する立場なら誰もがそう思うはずです。
けれど、「美味しさの基準」って何でしょう??
“おいしさ”とは、【味(テイスト)】だけでなく、【見た目(盛り付けや食器)】【食べる人の気持ち】
【一緒に食べる人とその人の気持ち】
などが合わさって感じる食べる幸せではないでしょうか。
更に、
介護食は“シニアためだけの”レシピが中心でした。
でもそれでは食べている人もハンディキャップを感じ、
一緒に食べる家族も申し訳なさを感じて美味しく、
楽しく食べることができていませんでした。
私たちは全ては難しくても、みんなで一緒に食べられる喜びを感じることが
できる環境づくりが大切だと思っています。
利用者さまに合った食のケアには【料理】と【人】の両方の理解が必要だったという体験から
皆様にお伝え致しました。
今回、例年のような「体験型の研修内容」とは行きませんでした。
折角の研修の機会なので、出来れば「体験」を通して記憶に残るものにして頂きたいという気持ちから
このような講座設計をさせて頂いておりましたが、
世の中はコロナ禍という未曾有の状況に見舞われ、
感染対策をしながらの研修となりました。
参加頂いた皆様にも十分な注意を払って頂きながら、
研修担当の職員の方々におかけましては、神経をかなりすり減らすように様々な配慮をして頂きました。
1時間置きの室内の換気の協力、手指消毒の徹底、十分な距離を保った席の配置と
例年とは比べものにならないくらいの環境の変化がありました。
そんな中でも、自身の糧となるような講座の内容でなければ、
講座に参加した意味がないと思いましたので、
「自分とひらすら向き合って考える時間」を設計させて頂きました。
グループワークを中心としてきたスタイルからは真逆で
昨年も参加して頂いた方からの印象がどう変わるか内心心配はありましたが、
感想を拝見しますと安堵いたしました。
深く考える時間をもってもらえたのは、普段の忙しさの中ではなかなか出来ない事なので
難しさはありながらも真剣に向か合っている姿を拝見する事が出来ました。
・問題を自分勝手に「問題」にしてしまっていた。
・「問題」が誰のものかまで考えずに、全てをまとめて問題にしてしまっていた
・人や時間、金のせいにしたら何も出来ずに仕方がないとあきらめていたが違う事に気付けた
・人があっての「食事」なんだとハッとさせられた
・こんなに考えたことは初めてで、考えれば考えるほどに難しいと思った
・問題だと思っていたことが大した問題ではなかった
・自分の問題、厨房の問題、誰がどうなって欲しいのかという事そのものが欠けていた
・先生の問題に対する突っ込みが本当にシンプルなのに「確かに!」と思う事だらけだった
・シンプルな質問にすら答えられない自分は事実確認が足りないと痛感した
担当者様より「生の突っ込みがめっぽう面白くて、シンプルなのに「なるほど!」と目から鱗が落ちるような質問が沢山あって刺激になったとおっしゃっていただきました。
質問する事自体が難しいですよねとも話になりましたが、確かに知らない事や疑問に思う事を素直に聞く!これって専門職になればなるほど、皆さん真面目なので余計に難しく考え過ぎる傾向があると感じています。
それだけ日々の業務に真剣に携わっているという事でもあると思います。
何度か参加して下さっている参加者の方からもこれまでとは全く違う講座内容でしたが、また新しい発見や刺激を受けました。とのコメントも頂きました。
事前準備ならびに当日準備においては、担当スタッフの方々に多大なるご協力を頂きました。
細やかな感染対策をお取り頂き、 おかけ様で滞りなく実施するに至りました。ありがとうございました。
なお、このレポートでご紹介させて頂いている画像に関しては、主催者さま、ならびに参加者様にご許可得まして掲載させて頂きました。 最後に今回このような機会を頂きました、主催者さま・担当者さまには、この場をお借りしてお礼申し上げます。
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